2014年2月18日緊急院内集会のご案内
ちょっと待って!少年法「改正」PART2
2014年2月7日、安部内閣は、検察官関与拡大及び厳罰化を内容とする少年法「改正」法案を閣議決定しました。
私たちは、この法案が少年法の理念を根本から覆すことになってしまうと、繰り返し危険性を訴えてきましたが、特に問題のない法案としてスピード審議されそうである、3月の成立、4月からの施行が予定されているとの情報もあり、事態は極めて深刻です。
私たちは、いま一度、この法案の危険性を訴え、法案をこのまま成立させてはならないことを御理解いただくべく、緊急に院内集会を開催します。
是非ご参加いただき、子どもの権利保障のためにお力をお貸しください!!
日時:2014年2月18日午前11時半~午後1時
場所:参議院議員会館102会議室(地下鉄永田町駅から3分、国会議事堂駅から7分)
内容:検察官関与・厳罰化のたどる道
~この法案が成立した子どもたちはどうなるか?~
◎法案解説
◎片山徒有さんのお話(詳細)(被害者と司法を考える会代表)
◎参加議院からのご発言
◎各団体からのアピール
主催:少年法「改正」に反対する弁護士・研究者有志の会
共催:被害者と司法を考える会
子どもと法・21
※午前11時ころから参議院議員会館の入口ゲートのところで、通行証を配布します。
通行証を受け取って会場に向かってください。
今回の少年法「改正」法案は何が問題なのか
今回の少年法「改正」法案は、①国選付添人制度拡大、②検察官関与拡大、③厳罰化を内容とするものですが、閣議決定を受けた報道をみると、①と②について、「国選付添人の弁護士と検察官が少年審判に立ち会える範囲を拡大することで、少年の権利保護にも配慮したもの」などと説明するものが多いようです。
しかし、現在、全国の弁護士会が実施している当番付添人制度によって、身柄拘束された少年については、少年が希望すれば無償で弁護士付添人を選任できる体制が、既に整えられています。
少年からみれば、国選付添人も当番付添人も、無償で弁護士付添人が付いてくれる制度という点で違いはありません。①国選付添人制度の拡大は、弁護士会が実施している当番付添人制度のごく一部を国の制度とするものにすぎないのです(大人の国選弁護人制度と異なり、裁判所が必要と認めた場合にしか国選付添人が選任されない点でもまだまだ不十分な制度です)。
①国選付添人の拡大によって、特に少年の権利保護を図ることができるようになるというわけではないのです。
私たちは、今回の少年法「改正」法案は、少年の権利保護を図るどころか、②検察官関与の拡大と③厳罰化を伴う点で、明らかに少年に大きな不利益をもたらす制度改悪だと考えています。
②検察官関与制度と③厳罰化は何が問題なのか、改めて整理してみました。
問題1 少年法の理念に反する検察官関与の拡大
少年法は、非行を少年の育ちの問題として捉え、糾弾や刑罰によるのではなく、子どもの健全な成長発達をはかることを通して、非行という問題を解決することを目指しています。
しかし、検察官は、犯罪の訴追と処罰を使命とする存在であり、捜査段階で取り調べを担当した検察官が審判廷にいれば、子どもが自由に自分の思いを語ることは困難になり、少年法の理念を守ることができません。そのため、少年法は、刑事裁判のような対審構造(検察官を登場させて子どもと対決させる)を採用せず、審問構造(検察官は登場させず、子どもと裁判官の対話を軸としている)を採用しているのです。
ところが、2000年改正において、家庭裁判所の非行事実認定に協力するものとして、少年審判に検察官が関与できる制度が一定の重大事件に限定して導入されてしまいました。
今回の「改正」法案が通ると、更に、窃盗、傷害、詐欺、恐喝、強制わいせつ事件など、少年の身柄拘束事件の約80%を占める事件において、検察官が関与できることになります。いじめに関連した窃盗や傷害などの事件も、検察官関与の対象となるのです。
問題2 検察官関与による冤罪の危険性
少年審判は、処罰の場ではないため、予断排除の原則も伝聞法則もなく、証拠制限の手続はありません。裁判官は審判が始まる前に全ての証拠に接し、一定の心証を形成したうえで審判を開くことになるため、少年が事実関係を争う場合、成人の刑事裁判の場合に比して、はるかに不利な状況に置かれることになります。
かかる少年審判に検察官が関与すれば、少年が真実を主張することが困難となり、冤罪の危険性を増加させることになります。
問題3 立法事実なき厳罰化
少年の凶悪犯罪は顕著な減少傾向にあり、少年の重大事件について厳罰化をはかるべき立法事実(立法を基礎づける事実)は存在しません。
問題4 子どもの人生より長い刑期
少年の有期刑は、少年の可塑性、人格の未熟さ、情操保護の必要性等への配慮から、少年法の独自の理念に基づき規定されています。
しかし、子ども(つまり20歳未満)たちに課せられる刑の上限が20年ということになれば、子どもたちは、自分たちが生きてきた時間よりも長い時間を、教育の保障も不十分な刑務所で過ごすことになります。そのような子どもたちが、社会に出たとしても、社会の中で自立して、やり直すことは極めて困難です。かえって再犯の可能性を高めることにもなりかねません。