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子どもとどうかかわるか? (これまでの学習会)
Part1「被害と加害に向き合いながら」2013/02/23
山口由美子さん (佐賀バスジャック事件被害者)
(パネルディスカッション)山口由美さん/佐々木光明さん(研究者)/坪井節子さん(弁護士)
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Part2「子どもたちの声なき声を聴く」2013/04/18
寺尾絢彦さん(元家庭裁判所調査官/ミーティングスペース・てらお主宰)
参加者によるディスカッション:「少年法を生み出した理念って?」
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Part3「非行と向き合うための対話」2013/07/20
(お話:いじめと修復的対話)山下英三郎さん(元スクールソーシャルワーカー/日本社会事業大学名誉教授)
(コメント:少年法『改正』問題にひきつけて考える)佐々木光明さん(神戸学院大学教授)
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院内集会ちょっと待って!少年法「改正」少年の心に寄り添う審判とは? 2013/11/06
~少年法の歴史を振り返りながら、あるべき審判の姿を探る~
多田元弁護士(愛知県弁護士会)/村井敏邦さん(研究者)/坪井節子弁護士(東京弁護士会)
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「改正」少年法~国会審議と付帯決議について

 2014年4月11日、検察官関与制度拡大と厳罰化を内容とする「改正」少年法
とうとう成立してしまいました。
 私たちは、今回の少年法「改正」案が法制審議会に諮問された2012年9月以来、
検察官関与対象事件拡大は、少年審判の刑事裁判化をさらに進め、少年法の理念を変容させるものであること、有期刑の長期化は子どもの更生を著しく困難にし、非行予防の効果もないことを繰り返し訴え、強く反対してきました。
 2014年2月7日に「改正」法案が上程されてからは、自由法曹団青年法律家協会と連携してロビー活動を行い、同月18日には、被害者と司法を考える会、子どもと法21、青年法律家協会と共催で、反対の声を結集する院内集会を開催しました。
 衆議院法務委員会では、私たち有志の会の呼び掛け人である坪井節子弁護士と村井敏邦弁護士(大阪学院大学教授)が参考人として出席し、非行を子どもの育ちの問題として捉え、子どもの健全な成長発達をはかることを通じて、非行という問題を解決することを目指す少年法の理念の重要性、そこに検察官は必要ないこと、検察官の関与が事実認定の適正化に資することはなく、むしろ、冤罪の危険が高まること、また、長期処遇を受けた子ども達の社会復帰がいかに困難で、更生の妨げになっているかを指摘し、検察官関与拡大と厳罰化について強い反対意見を表明しました。
 しかしながら、衆議院では、法務委員会でたった一日の質疑(参考人質疑を含め6時間40分)がなされたのみで、4月1日衆議院本会議で可決、参議院法務委員会でも二日間の質疑(参考人質疑を含め7時間20分)のみで、4月11日の参議院本会議で可決成立してしまったことは、非常に残念です。

 それでも、短い審議日程の中、検察官関与は本当に事実認定の適正化につながるのか、少年法の刑事裁判化をもたらし、少年法の理念を破壊してしまうのではないか、子どもが委縮して真実を話せなくなり、却って適正な事実認定を妨げることになるのではないかという問題意識からの質疑がなされ、衆参両議院法務委員会の付帯決議につながりました。
 特に、参議院法務委員会の以下の付帯決議は注目すべきものと考えています。


  2項 検察官関与制度の趣旨が事実認定手続の適正化にあることに鑑み、
        改正後の同制度が少年法の理念にのっとって適正に運用されるよう、
     十分配意すること。また、少年審判に関与させる検察官について、
        少年の心理及び審判の特質に関する理解を深めさせること。


 検察官関与の必要性判断を限定的なものとし、検察官が関与する場合にも、少年法の理念に反する事態が生じないように歯止めをかける趣旨が明確にされたものとして、注目すべき付帯決議といえます(衆議院法務委員会の付帯決議1項、3項、8項も同趣旨のものといえます)。
  
 少年刑の上限引き上げについては、厳罰化ではない、少年についても罪に見合った科刑ができるように科刑の適正化を図る趣旨だというのが政府の説明でした。
 しかし、実際に上限が引き上げられれば、全体に厳罰化する傾向となるのは、2000年改正以後の運用、成人の刑の引き上げ後の状況をみても明らかではないか、少年犯罪は凶悪事件も含め、20年前の半数以下に減少しているのに、何故、今、厳罰化なのかと、立法事実を問題にする質問、子どもに対する長期処遇は社会復帰を困難にし、再非行につながるおそれも高まるのではないかという懸念からの質問も相次ぎ、以下のような付帯決議がなされました。


 参議院法務委員会の付帯決議
 3項 少年に対する刑事処分に関する規定の見直しの目的は、言い渡す刑を一律に
     引き上げることではなく、少年法の理念の下でより適切な科刑を可能にする
        ことであることについて、周知徹底を図ること。
 4項 少年院における矯正教育及び少年刑務所における矯正処遇と社会復帰後の更
        生保護及び児童福祉とが連続性を持って行われ、仮退院及び仮釈放の運用が
        一層適正に行われるよう、少年に対する支援の充実について検討を行うこと。
   (衆議院法務委員会でも、上記4項とほぼ同じ内容の付帯決議がなされています)

 3項は、量刑判断においても、少年法の理念を考慮すべきとし、厳罰化に歯止めをかけるものといえますし、4項は、少年の社会復帰、更生のための連続性のある支援の充実につながるものとして期待します。
 
  国選付添人制度に関しても、衆参両議院法務委員会で付帯決議がなされています。
  特に、参議院法務委員会の付帯決議では、子どもの権利条約の趣旨にも言及されており、子どもの権利という視点から国選付添人が対象事件全件に選任される運用を目指すものとして評価できます。

 参議院法務委員会の付帯決議
 1項 少年審判において付添人が果たす役割の重要性及び児童の権利に関する条約
        の趣旨に鑑み家庭裁判所の裁量による国選付添人制度の対象事件の範囲の
        拡大に適切に対応するため、刑事裁判と異なる少年審判の特質を理解した弁
        護士が国選付添人に選任されるよう同制度の趣旨について司法関係者に周知
        徹底を図り、適正な運用が行われるよう留意すること。また、同制度の対象
        事件の範囲については、少年鑑別所送致の観護措置がとられたぐ犯少年への
        適用を含め、引き続き検討を行うこと。

 私たちは、上記付帯決議の趣旨を徹底した運用がなされるよう今後の運用を監視していくとともに、子どもの権利条約など国際基準にのっとった少年司法の実現を目指し、引き続き運動を続けていきます。